蔀戸の家

House of Shitomido
2015.11.17

 木造住宅の改修。父が一人で住む実家に娘夫婦が一緒に暮らすことになった。夫婦が暮らす部屋は二階に位置し、アルミサッシのボウウィンドウが通りに面して配されていたが、西日が強いとの理由からカーテンで締め切られ、閉鎖的な環境になっていた。この窓を大きく開け放つことができれば、街の風景を楽しむことができたり、風や光を取り入れたり、あるいは街の人が生活の気配を感じることができるなど、もっと開放的に外の環境と関係を持ちながら暮らすことができる。そのためには、開くか、閉じるかだけでなく、住い手が環境に応じて自発的に調整することができる開口部を考える必要があった。

 そこで、断熱性能の高い木製ペアガラスのすべり出し窓を外側に、木枠に透明度の低いFRPを打設した蔀戸を内側に、収納家具と一体的に設える計画とした。すべり出し窓と蔀戸を開くと、軒下のような空間ができ、ベンチが表れ、窓辺に居場所をつくりだしたり、FRPの障子が反射することで通りの風景が室内に引き込まれるなど、積極的に外との関係を生み出すつくりとなっている。また、蔀戸を閉じると、直射日光を遮りながらやわらかい光だまりを室内につくりだしたり、街からの視線を遮りながらも蔀戸の向こうで動く人のシルエットが気配を感じさせたりなど、適度に外との距離を保つことができるようになっている。

 住宅はなるべく外に開かれていた方が良いと考えているが、開放的につくりすぎて他のことを犠牲にしては意味がない。それよりも、外との距離をその時々の環境によって住い手が調整できるようなつくりにしておいたほうが、本当に開かれた環境を生み出せるのではないだろうか。

設計:ツバメアーキテクツ

+澤田航 (Sawada Hashimura studio)

施工:TANK

写真: 長谷川健太

竣工:2015年3月

掲載:住宅特集 2015年12月号

Design:TSUBAME ARCHITECTS+Sawada Wataru (Sawada Hashimura studio)

Construction:TANK

Photo:Kenta Hasegawa

Completed: Mar. 2015

Published: jt 2015-12

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©wataru sawada