富士吉田市の準公共施設 センゲンボウ 高校生の拠点施設

Semi-Public Building for High-School Student
2018.10.08

「御師住宅」から学ぶ

富士吉田市には、「御師住宅」という建築があった。個人の住宅でありつつも、宿坊として夏の富士山登拝シーズンに登山者を受け入れ、祈祷なども行う建築群のことである。

 

それらの建築は共通した構成を持つ。富士山へ向かう道である富士道に対しまず門をもち、そこから奥まで「タツミチ」という路地が続く。富士道と平行に走る禊のための「ヤーナ川(間の川)」を超え、屋敷に至るというシークエンスを持つ。

 

最盛期には八十六軒連なった御師住宅も、今は数件となってしまったが、保存活用されているものもあり、当時の雰囲気を知ることができる。

 

今回のプロジェクトは、富士道の脇に30年ほど前に建てられた木造の事務所建築をリノベーションし、準公共施設として高校生の地域拠点を作るというものだ。対象の建築は、富士道に対して側面を向け、路地に対して正面を作る建ち方となっていた。そして住宅のすぐ目の前には行政によって最近復元された御師住宅の立派な門が立つ。御師住宅そのものを作るわけではないが、そのあり方を参照することにした。

 

まず、対象の建築の道路側・裏側に開口をあけ「タツミチ」を貫通させ、門と連続するようにした。耐力壁は再配置している。そして淡いグリーンだった外壁は木で仕上げ直し、トーンは門に合わせ余計な装飾も取り払った。また、「ヤーナ川」を引き込むわけにはいかないので、その代わりに富士山側からさしこむ西日が建物を斜めに貫通するように、外壁に窓を開け直し二階の床を抜いた。そして露出した木部は地元の高校生らとシルバーのアルミ箔で仕上げ、自然光を室内に拡散させる軸組となった。縁側の代わりにデッキで建築を囲った。

 

この施設は、地域の元気なNPOによって運営され、高校生のチャレンジを支援する拠点になっていくだろう。それはまさに御師住宅が担っていた、繰り返し繰り返し山を登るチャレンジを支援する役割にもシンクロする。

 

施主:NPO法人かえる舎

設計:ツバメアーキテクツ

設計協力:中川宏文

構造アドバイス:オーノJAPAN

施工:滝口建築

撮影:長谷川健太(最後の三枚のみNPO法人かえる舎)

照明シミュレーション:和田遼平(パナソニックライフソリューションズ社)

所在:富士吉田市

竣工:2019年

th_190924_0027th_190924_0160 th_190924_0119

th_190924_0054th_190924_0518th__DSC0702 th__DSC0648 th_190924_0575th_190924_0338th_190924_0367th_190924_0627 th_190924_0965

ワークショップ2 ワークショップ1風景