出窓の家 (ベルリン・セミナーハウス)

House of Bay Window
2016.06.22

エレメントの変形、即ち駄洒落的設計

一つの家族のために作られた在来軸組の住宅のエレメントを、拡大したり、歪ませたり、ズラしたり、「変形」することで、よりたくさんの人々が関わりを持てるような空間にできないか考えた。

 

ここでは、一階は不定期で、ミニシアターやミニコンサート、スタジオ利用、お料理教室などとして使うことが希望され、プライベートな多目的スペースとした。二階はシェアハウスとして使うこととなった。

 

一階に元々あった浅い出窓を撤去し、人が10人程度乗れるように大袈裟に構造補強を施した雛壇状の奥行きの深い出窓に作り替えてシアターのようなかたちに変えた。ぜひ、お笑いライブをやって雛壇芸人に座ってもらいたい。

 

また、住宅としての在来軸組のイメージを消し、スタジオとしての雰囲気を作ろうとした。入り口は、元々の玄関と出窓の陰に隠れるような位置に作っており、プライベートシアターなので、普段はカモフラージュされている。

 

二階のシェアハウスでは、共有部を大きくとり、残りの部屋をベッドがおけるくらいのサイズとするために、共有部の壁を風船を膨らますようにどんどん大きくしていった。すると、柱梁や屋根裏の小屋状の軸組が現れたので、ちょうどいいところで止めた。また、シェアハウスとして気兼ねなく使い倒してもらうように木部の仕上げは荒々しいままとし、むしろ補強のためにせっかくいれた新規の材は同じくらい汚した。小屋は構造補強を耐震要素にもなっている。さらに猫が上空を飛び回れるように、屋根裏部屋から近い梁に向けて耐震補強をしたにもかかわらず、構造が許す限り開口を開けた。まさにキャットウォークである。

 

全体的に、既存の要素と対話しながら駄洒落のように設計を進めた。つまり既存要素と同じか、非常に似つつ想定の異なるものを各所育てていくような議論をした。そして、手を加えたり、間引いたところに錆止め塗装のような赤茶を塗った。建物の中をあるくとテンポよくいたるところにこの色が出てくる。

 

それによって、たくさんの余談を経由しながらできた全体のトーンを整えるだけでなく、赤の持つイメージから「ここは芝居小屋か何かだろうか?」と無意識に感じさせることを狙っている。塀の上に赤茶のベルを釣り、アイキャッチとしている。叩くとまぁまぁ綺麗な音が鳴り、何かの開催を静かに知らせる。

 

竣工:2018年2月

施工:月造

ロゴ・サイン・ベル:neucitra

写真:阿野太一

 

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