福祉施設のメンテナンスプロジェクトである。これまで三種の工事に関わった。
築70年程度の木造保育所の改修(2021)、介護老人保健施設のカーテンウォール改修(2021)と内部改修(2025)を順番に行った。
1.木造保育所の耐震補強や断熱を総合的にやりかえ、ワンルーム化することで光が部屋の隅まで届くようにし、そこに架構が陰影やリズムを与えるような空間としている。新旧の柱が混ざるそのことは、多世代が共存するこの福祉施設全体のあり方にもシンクロしている。
2.介護老人保健施設のカーテンウォールの改修では、防水性を高めると共に腰壁パネルを外したり全面的に透明ガラスに変えたりすることで、中からは植栽がよく見えるようにし、外からは中の様子がわかるようにしている。傷んでいた目地がくっきりとした。
3.介護老人保健施設の内部改修においては、水回りなどの設備更新とともにケアの風景を整える。施設内に溢れるケアの道具を揃えたり清掃性を高めるために、領域や補助線を定めた。人が過ごす柔らかい居室としての雰囲気を作り出そうとしている。
施設建築には定期的にメンテナンスをしていく機会が訪れる。コストのことを考えるとメンテナンスという作業は、場当たり的な対処療法的になってしまいがちだが、その時に機能を復旧させるだけでなく、その作業を少し俯瞰的に位置付けることで人が過ごすための空間的な質を少しでも高めていくことは、建築家が得意とするところだろう。中長期的に施設に関わることで漸進的に環境改善をしていくことの可能性を考えていきたい。
構造:円酒構造設計(保育園)
サイン:Takubo Design Studio
施工:ルーヴィス(保育園改修)、不二サッシリニューアル(介護老人保健施設カーテンウォール改修)、田中建設(介護老人保健施設内部改修)
施主:社会福祉法人緑風会
写真:保育園(nakamura kai)
介護老人保健施設カーテンウォール(morinakayasuaki)
介護老人保健施設内部(Eri Kawamura、下二枚tsubame architects)