下北線路街 シモキタ園芸部 こや のはら

植物をきっかけとした都市の循環を生む「こや」と「のはら」

まちの植物の手入れを通じてさまざまな活動を行う市民グループ、シモキタ園藝部(以下、園藝部)の拠点の「こや」と「のはら」の計画である。園藝部は小田急電鉄の開発プロジェクトである下北線路街の一連の植栽メンテナンスを引き受け、ここに入居する。園藝部の活動は、たとえば、メンテナンスで出た枝葉と、周辺のカフェのコーヒーかすを利用して腐葉土をつくるなど、植物を起点に都市の資源を発掘し、循環させていくものである。「こや」と「のはら」は、そうした活動やそれに関わる人びと、植物や道具の結節点となる。

「こや」は小さな庭を挟むように2棟に分け、また、天井高さを変化させて立体的に外部と触れ合う、風通しのよいものとした。1棟はハーブティなどを提供するキオスク、もう1棟はワークショップなどを行う活動スペースとして利用する。外部まで延びる華奢な鉄骨フレームと、木造の壁や床で構成し、植物を絡めたり、道具を掛けたりとモノの居場所をつくりやすいようにした。

「のはら」は綺麗に整えられたランドスケープではなく、雑草含め、さまざまな草花がひしめく野生の庭として計画されている。野生といっても、完全に野放しというわけではなく、むしろ園藝部が日々メンテナンスすることによって、都市の駅前空間でこれが実現している。

「こや」と「のはら」の機能を連動させることで、園藝部のさまざま活動が展開している。植物をきっかけにまちのヒト、モノが集まって、多様なコトが生まれるこの場所は、都市の循環を実感できる空間となっている。

所在地:東京都世田谷区
用途:店舗
規模:鉄骨造 平屋建
延床面積:28.83㎡
設計:千葉元生、西川日満里、山道拓人、藤本亮太/ツバメアーキテクツ
構造:オーノJAPAN
設備:EOSplus,ジーエヌ設備計画
外構:フォルク
施工:山菱工務店
施主:小田急電鉄株式会社
運営:シモキタ園藝部
竣工:2022.03
写真:morinakayasuaki
掲載:新建築 2022年12月号