下北線路街 HORA BUILDING

まちから学び、まちへと展開する拠点

敷地は線路跡地に隣接し、商業的な北側と落ち着いた南側の住宅地の2面に接する。一般的に線路に並走する住宅地では、住戸は線路に対し背を向ける建ち方となるが、鉄道が地下化し、街の裏だった場所に人が集う空間が生まれたこの場所においては、南北それぞれに出入口をつくり、建物内部に通り抜けのできる道を設け、どちらの面にも背を向けないことを考えた。

半地下階は店舗、1、2階はSOHOとし、ツバメアーキテクツがマスターリースをする。開発のあり方が変わるのであれば、それに関わる設計事務所のあり方も変化するのが自然ではないか。事務所として、より地域へ開かれたあり方や下北線路街をきっかけとしたプロジェクトとの継続的で多面的な関わり方を実験的に模索したいという思いから、半地下階ではドーナツ屋「洞洞」を運営している.また定期的にワークショップやイベントを行い、多種多様な人びとが対話し、学び合う公民館のような場所をつくろうとしている。

断面は各階を閉じず、オープンに繋がる。床のずれは天井高さの差と、光の量の差をつくると同時に、吹き抜けを介して音や匂いが伝搬し、店舗や前面の道との体感的な距離を縮める。地下1階、1階の両方を地盤面と近付け、店舗、設計事務所、通り過ぎる人びと、それぞれの関係を少しづつ重ねる。構造は柱60mm角によるブレース構造とし、構造体を露出することで、将来のリノベーションに備え、誰に対してもつくられ方が明らかになるようにしている。

まちに開かれたつくりと、まちを楽しくする仕組みのある、風通しのよい仕事場を目指した。

所在地:東京都世田谷区
用途:店舗+兼用住宅
規模:鉄骨造 地上2階+地下1階建
延床面積:135.78㎡
設計:西川日満里、千葉元生、山道拓人、廣瀬雄士郎/ツバメアーキテクツ
構造:オーノJAPAN
設備:EOSplus,ジーエヌ設備計画
施工:山菱工務店
施主:小田急電鉄株式会社
運営:ド研+ツバメアーキテクツ
竣工:2022.08
写真:morinakayasuaki
掲載:新建築 2022年12月号