パナソニック ホールディングス 研究開発拠点 Technology CUBE

空中の広場と改造可能な道具群

ツバメアーキテクツはNATURE SQUAREと呼ばれる巨大な吹き抜け周りのインテリアデザインとそこに関わるコラボレーター各社の統括を担当した。まず、吹き抜けが始まる5階フロアを「都市の広場」と見立てて設計を開始した。1~4階は重い機械が並ぶ工場的なフロア、5~8階は人びとが集う共創のフロアであり、5階はその両者を繋ぐグラウンドとなる。力強いグリッド天井と対峙する床タイルは多様な貼り方を施し、揺れる目地によって建築の中心に柔らかな雰囲気をつくろうとしている。貼り分けられたタイルは、多様な集まり方の補助線となり、セキュリティのガラスウォールを越えて外周へと流れをつくる。

 

吹き抜けには高さ約20mの「シンボルウォール」を設置した。単管モジュールによるジャングルジム状の構造で、改造が容易な実験のプラットフォームとなっている。高さに合わせてさまざまな植物が配置され、既にそこかしこでセンサーや立体音響、ドローンピットなどが試されている。さらに屋久島の風を再現する送風ルーバーがテキスタイルを揺らし,

 

手が届く範囲に配された広葉樹の棚にはプロトタイプや本、モバイルバッテリーが並ぶ。シンボルウォールは特殊な実験だけでなく、日常的にも使い倒されフロア同士を繋ぐ役割を担う。

 

広場には待ち合わせのベンチ、日々の打ち合わせに熱気をつくる円形劇場のようなソファ・カウンター、ひとりで過ごせる隙間、籠もれる櫓など多様な居場所を配置しタイルと呼応する。クリエーターと共に実験的な素材も試している。さらに吹き抜けに張り出す「桟敷」の手摺りなどにおいて、竹中工務店と共に拡張可能性と手触りを両立させた道具的なディテールを考えた。改造の初手として各所で異なる姿勢が取れる設えをつくり、フロア側に領域をはみ出させている。

 

「100年使う」べく高度に統合されたインフラ的な建築において改造を促す余白や揺らぎを押し広げるべく各設計チームやクライアントが相乗りするように取り組んできた。このこと自体によって、既に建築が共創の空気を纏っている。

所在地:大阪府門真市
用途:研究所
規模:地上8階 塔屋1階
延床面積:42,094.29 m2
設計:竹中工務店(建築)
ツバメアーキテクツ(NATURE SQUAREインテリア)
構造:SRC造 一部S造
施工:竹中工務店
乃村工藝社(5-8階 C工事内装施工)

写真:長谷川健太
掲載:新建築26年4月号