緑風荘保育所+介護老人保健施設のリノベーションプロジェクト

メンテナンスのデザイン

本計画は、福祉施設のメンテナンスプロジェクトである。まだ道半ばであるが、実施した第一期工事においては、築70年程度の木造保育所と、介護老人保健施設のリノベーションを順番に行った。

まず木造保育所の耐震補強や断熱を総合的にやりかえ、ワンルーム化することで光が部屋の隅まで届くようにし、そこに架構が陰影やリズムを与えるような空間としている。新旧の柱が混ざるそのことは、多世代が共存するこの福祉施設全体のあり方にもシンクロしている。

また、その後に、介護老人保健施設においては、カーテンウォールの改修を行い、防水性を高めると共に腰壁パネルを外したり全面的に透明ガラスに変えたりすることで、中からは植栽がよく見えるようにし、外からは中の様子がわかるようにしている。傷んでいた目地がくっきりとした。

施設建築には定期的にメンテナンスをしていく機会が訪れる。コストのことを考えるとメンテナンスという作業は、場当たり的な対処療法的になってしまいがちだが、その時に機能を復旧させるだけでなく、その作業を少し俯瞰的に位置付けることで人が過ごすための空間的な質を少しでも高めていくことは、建築家が得意とするところだろう。中長期的に施設に関わることで漸進的に環境改善をしていくことの可能性を考えていきたい。

構造:円酒構造設計(保育園)
施工:ルーヴィス(保育園改修)、不二サッシリニューアル(カーテンウォール改修)
施主:社会福祉法人緑風会
写真:保育園(nakamura kai)
介護老人保健施設(morinakayasuaki)