KINOKO

飛騨の森を体現する家具

飛騨には豊かな広葉樹の森が広がっている。しかし飛騨の家具製品の多くは輸入材でつくられている。飛騨の木材は、小径木が多い上に、どんな樹種がどの程度手に入るか把握出来ておらず、大量生産に向かないからである。しかし、これからの地域の持続性を考えれば、飛騨の森を前提とした産業のあり方に、少しづつでも切り替えていかなければならないだろう。こうした思いから、本プロジェクトは飛騨の小径木広葉樹を活用した家具の提案として始まった。

材が小さく、利用可能な樹種が特定しづらいのであれば、その飛騨の森の特徴をそのまま体現したような家具をつくればよい。

小径木を製材すると、幅200~300の材として取り出される。そこから円を取り出し、複数枚を組み合わせることで大きな座面を作り出している。3枚組み合わせれば椅子になり、7 枚組み合わせればベンチになる。円同士は、伝統的技術である千切りを用いて留め付けた。樹種は飛騨の森で採れる、ミズメ、ヤマザクラ、トチ、クリ、ブナ、キハダ、ホオを用いており、その時々で採れる樹種によって交換して良い。まるでキノコのような形であることと、飛騨の木々の子という意味を込めて「KINOKO」と名付けることにした。

用途:家具
設計:千葉元生、西川日満里、山道拓人、岡佑亮/ツバメアーキテクツ
施工:Hida Collection
施主:飛騨の森でクマは踊る
写真:ツバメアーキテクツ
掲載:KJ 2017.10