儀式によって瞬間的に立ち上がる場というものがある。地鎮祭、テープカット、結婚式のケーキ入刀、などは宗教を超えて、比較的カジュアルに行われるもので、一度は目の当たりにした経験があるのではないだろうか。
なぜそういった儀式のようなものが今も残るかを直接的に説明するのは難しいけれど、これがあることによって、多忙を極める関係者・知人同士が、どうにかタイミングを合わせて集まり、時間の流れの中に、ある特異点を作ろうとする効力を確かにもつ。我々は「鏡開き」の持つ、板を叩き割るという少々大袈裟で滑稽な振る舞いや、音の響きに着目して、都市に居場所を立ち上げる方法として、リデザインすることを考えた。
具体的には、さまざまな樹種の広葉樹を使って、蓋とハンマーを作り、何度も叩き割ることができる一式の装置を作った。樹種によって異なる音を都市に響かせ、開会式や結婚式に使ってもいいし、遊具のようなものとして位置付けてもいいと考えている。中身はお酒ではなく、ノベルティをイメージし、広葉樹で契り(継ぎ手)を作ったりもしている。
今回は、プロトタイプ的に作ったが、叩き割る人や、それを眺める人が、自然に歓声をあげ、人が人を呼ぶ様を見ているともう少し実験を続けてみようと考えている。
用途:鏡開き
設計:ツバメアーキテクツ+ヒダクマ
協力:株式会社ひらく(Ver1)
主催:Wedding Park 2100(Ver1)
ツバメアーキテクツ+hidakumaとして活用展開(Ver2以降)
竣工:2023.03
写真:Hidakuma(1~6,14)
morinakayasuaki(7~13+movie)
Suzuki Tomohiro(15)