うつほの杜学園

地域とともに育つ学校

本計画は、和歌山県田辺市中辺路町に位置する廃校をリノベーションし、新たな小学校としたものである。敷地は、中川と富田川の2つの川の合流地点に位置し、熊野古道にも程近い、四季に恵まれた自然環境の中にある。

うつほの杜学園は、世界・地域・自然とつながり、自らの力でグローカルに活躍できる人を育むことを目指し、探究型学習を中心としたオリジナルのプログラムを持つ。子ども主体の学びや、地域・自然との関係性を重視した教育が行われている。

本プロジェクトでは、「地域とともに育つ学校」を目指して計画が進められた。エントランスは天井高を高く確保し、学校での取り組みを来訪者に伝えるための吊り展示が可能な設えとした。玄関横の元放送室は、入口側へ大きく開くことで立ち寄りやすい空間とし、窓辺にはベンチを設けている。

教室まわりでは、多様な活動単位での学習や子どもたちの多様性に対応するため、建具の構成を見直した。教室と廊下の間には引き戸を設け、廊下と一体的に学習できる環境を整備するとともに、不要な建具や壁を撤去し、各所にニッチを設けた。

職員室は大きなワンルームとし、子どもたちが声をかけやすい開放的な空間としている。

内装は既存家具を活用しつつ、窓周りの枠や天板、小口を紀州杉で仕上げた。また、2階ホールの床には廃棄予定であったタイルを再利用し、ランダムに敷き詰めている。

既存ストックを活かした最小限の更新により、部屋同士の連続性と開放性を再編した。今後も、子どもたちや地域の人々の関わりの中で、日々更新されていくことが期待される。

所在地:和歌山県田辺市
用途:小学校
規模:鉄筋コンクリート造3階建(リノベーション)
延床面積:1809m2
設計:ツバメアーキテクツ
設備:EOS Plus
外構:FOLK
協力:色彩設計:COTONA
構造監修業務:テクトニカ
施工:東宝建設
施主:一般社団法人うつほの杜学園設立準備会
竣工:2025年2月
写真:中村 絵