旗竿地に立つ保育園 彩の調保育園南浦和宙

余白と窓

住宅地の保育園は、床面積を確保と、近隣への配慮を両立させようとすると、園庭はなくなり、窓は小さくなり、建築は閉じていく。今回の敷地は旗竿。マンション、アパート、個人住宅、駐車場に囲まれている。このボリューム感の差に注目することで、アプローチや庭の環境の質を高めようとした。

 具体的には、周辺に対する余白の取り方や、窓の在り方、さらに風や光の抜ける架構がテーマとなった。まず、旗竿特有のアプローチは、緩やかにカーブする道路を模したデザインとし、大庇のベロが伸びてくる。白いドット模様にはベビーカーや自転車が可愛く駐車する。個人住宅やバルコニーに配慮し、エントランス側の窓は絞りつつも、パンダの目ように縁取ることでリズムを作り出す。保育室は、南北に大きな開口を設け、それに合わせ架構を連続させた。耐火被覆は表しとすることで架構のぬいぐるみとしている。南側には、駐車場と連続するように中庭を作った。

旗竿敷地の保育園は、方位や接道条件によってはアプローチ部分を園庭にしたり、分棟形式など余白の取り方や、それに対応した窓のあり方などまだまだ可能性を秘めている。今後も検証していきたい。



所在地:埼玉県さいたま市
用途:保育所
規模:鉄骨造三階建
延床面積:487.58 m²
設計:山道拓人、千葉元生、西川日満里、川田実可子、坂梨桃子/ツバメアーキテクツ
構造:円酒構造設計 担当/円酒 昂
設備:EOSplus 担当/三橋 琴
ジーエヌ設備計画 担当/五木田正和
サイン:氏デザイン
施工:山崎工務店 担当/細井泰孝、北潟英子
施主:社会福祉法人 LEAD Care and Education Center
竣工:2021.03
写真:楠瀬友将