角地に立つ保育園 彩の調保育園さいたま新都心東口

隅切りと顔 

敷地はさいたま新都心駅から徒歩10分程の住宅地。個人住宅や木造アパートに包囲されているが、2つの隅切りがそれぞれ交差点に接する。西側は四叉路、東側は三叉路が集まり、顔となる建物の隅に特徴的な開口を設けることで、保育環境の質を特徴づけることを考えた。 

架構を45度回転させることで、隅切りに対して合理的かつダイナミックな内部空間としている。午前中の光が入る東側の隅は、巨大な口を開けたバルコニーとしている。ここは園児にとって貴重な屋外遊技スペースであり、近隣との間に適度な距離を生む。また、街と連続したホールのような広がりを内部に生み出す。 

1階の0~2歳児の部屋は天高を抑え落ち着いた空間とし、2階の3~5歳児の部屋は住宅のような外観からは想像もつかない天高5mの大空間が広がる。西側は小さな窓を集積させ、窓の開閉に応じ表情をかえて人を迎える、ユーモラスな構えとなった。また、1 日の太陽の動きに合わせ、光の差し込み方が変化するように窓を配置し、日向と日陰のバランスを考えた。 

さらに、現しとなる架構は、燃え代35mmを素直に取ると自然と角が丸くなり、森の木々に囲まれたような柔らかい印象となった。 

園庭が確保しづらい密集した住宅地においても、架構やディテールが都市と連動することで、特徴的な保育環境を生み出すことができ、地域をも明るく照らす顔となる。



所在地:埼玉県さいたま市
用途:保育所
規模:木造2階建
延床面積:419.61 m²
設計:山道拓人、千葉元生、西川日満里、川田実可子、箱崎慶伍/ツバメアーキテクツ
構造:木下洋介構造計画
担当/木下洋介、小針 匠、西尾祐也(元所員)
設備:EOSplus
担当/高橋 翔、内田修一、三橋 琴、長島早希
サイン:氏デザイン
施工:八生建設
担当/吉井 紀夫、伊藤 栄、谷中 啓尚
施主:社会福祉法人LEAD Care and Education Center
竣工:2023年3月
写真:中村絵